回転窓/東京メトロが上場

2024年10月24日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 東京メトロの銀座線は1927年、浅草~上野間で東洋初の地下鉄として開業した。それから90余年、地下鉄は通勤通学や観光なども含めた都市の日常に欠かせない交通手段となっている。国土交通省の公表資料によると、東京の地下鉄利用者数(2019年時点)は1日平均約1038万人と世界トップクラス▼以前に利用した仏パリの地下鉄は薄暗く、どこか安心できない雰囲気だった。これに比べて日本の地下鉄は駅構内や車内が明るく設備も充実し、ベビーカーの貸し出しを行う駅もある▼東京メトロが23日に株式上場を果たし、日本橋兜町の東京証券取引所でセレモニーを行った。大株主の国と東京都が保有する全株式の半分を売却するため、2億9050万株が市場に出回る▼株の売却益について国は復興財源確保法に基づき、東日本大震災で計上した復興債の償還費用に充てる方針。一方で都は使途を明言していない▼国際競争力強化とアクセス向上を目的に有楽町線(豊洲~住吉間)と南北線(品川~白金高輪間)の延伸工事が進められている。東京の交通利便性が一層高まる。30年代半ばの開業を楽しみにしよう。