国交省/インフラ技術の海外売り込みへ仕組み検討、人材育成施策も議論

2024年10月25日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省はインフラの建設や維持管理に関わる国内企業の技術を海外に売り込むため、国が取り組むべき支援の方向性について議論を始めた。建設業務を受注するだけでなく、単体の技術を売る仕組みを検討。さらなる技術革新を後押しするため、人材育成の施策も議論する。検討結果は2025年度内の策定を目指す次期「国交省技術基本計画」に反映する。
 23日に社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)・交通政策審議会(交政審、同)技術分科会技術部会の下に設置した「分野横断的技術政策ワーキンググループ(WG)」(座長・小澤一雅政策研究大学院大学教授)の第5回を東京都内で開いた。年度内に最終取りまとめを行う。
 会合では国内企業が開発したインフラ関連技術の海外展開に向け、国が支援していくべき方向性について議論した。ある委員は、国内施設の老朽化で多様なメンテナンス技術が社会実装されている現状を紹介。これらの技術の先進性が、今後の海外市場ニーズも取り込めるとの分析を示した。別の委員は、地雷検知に使われている地中レーダー技術が地盤調査や維持管理にも応用できると指摘。建設技術とパッケージ化し、輸出につなげる方策を提言した。
 日本はインフラの設計や建設、点検を一体で受注する「パッケージ型」のインフラ輸出に力を入れてきた。だが他国の海外展開ではインフラを整備せず、建設技術の特許を取得して輸出するビジネスモデルも見られる。国交省はこうした視点を重視し、特許技術を育てる国の取り組みについても議論を深めていきたい考えだ。
 インフラの整備や維持管理の技術革新を進めるには、受発注者双方で高い技術力を持った人材が求められる。技術者の育成や異分野からの人材獲得に向け、国や企業、教育機関が取り組むべき方策についても意見を交換した。
 ある委員は人材育成で「専門性の横幅を広げる視点」が重要になると指摘。具体的には土木や建築を専門とする職員が、情報など異分野の知識を学ぶことで相乗効果が生まれ、技術革新につながっていくと主張した。