大成建設ら/建設ロボの上下階移動システム構築、25年秋までに専用エレベーター製作

2024年10月25日 技術・商品 [3面]

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 大成建設と三成研機(埼玉県日高市、野田裕二社長)は、建築現場で活用する建設ロボットの上下階間移動システム「T-MoveX」を構築した。現場での実装に向け、建設ロボット専用の仮設エレベーター「ROBOELE(ロボエレ)」と、ドローンの移動専用シャフト「Dシャフト」の設計、製作にこのほど着手。ロボエレは2025年秋までに製作し、実証を経て26年度には実プロジェクトでの本格運用を目指す。建物の上下階を自由自在にロボットやドローンが移動できる現場環境を創出し、施工の効率化を図る。
 ロボエレは汎用(はんよう)型の仮設エレベーター(定員3人)を改良して製作する。建設ロボット専用の省スペース(幅1500ミリ×奥行き2250ミリ、最小設置開口1950ミリ×2450ミリ)に対応。標準的な超高層ビルの仮設エレベーター設置開口の余り部分や、最小の駄目穴寸法で独立して設置できるようにする。
 さまざまな通信機能を用いて建設ロボットとロボエレを連携。ロボエレは建設ロボットが発信する呼び出し信号を受信すると、呼び出し階に移動し自動で扉を開閉し、ロボットを載せて指定階へ移動する。
 ドローンの現場内移動では、ロボエレ用の開口にDシャフト(幅1200ミリ×奥行き1200ミリ程度)を併設する活用方法も検証。スムーズな上下階間移動を後押しする。
 大成建設によると、大規模現場に設置された大型仮設エレベーターが資材の搬出入や作業員らの移動でほぼ稼働し続けており、建設ロボットとの共用は難しく、建設ロボットの一度の作業範囲は同一のフロアに限定されていた。今後は新たに構築したシステムを普及展開することで、建設ロボットの活用範囲を拡大。現場の生産性向上を柱とするDX構想の実現に取り組む。