漁港工事の過半が週休2日実現、さらに前進へ「ゆとりある工期」要望/全漁建会員調査

2024年10月28日 行政・団体 [1面]

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 漁港工事で働き方改革が一段と進んでいる。全日本漁港建設協会(全漁建、岡貞行会長)が会員企業に実施した調査によると、2024年度の休日取得状況は土日閉所の完全週休2日を含む週休2日が55・3%と前年度から15・6ポイント上昇しており、「あと一歩のところまで来ている」(岡会長)状況だ。4週8休の実現に向けた発注者への要望では「ゆとりある工期設定」が最も多かった。
 全漁建は会員企業を対象に、働き方改革や生産性向上をテーマとした調査を21年度から実施している。今回の調査は8~10月に行い、会員634社のうち219社が回答した。
 24年度の休日確保状況を見ると、「完全週休2日」は37・9%(前年度比12・1ポイント上昇)、「週休2日」は17・4%(3・5ポイント上昇)。「4週8休」も37・9%と2・2ポイント上昇したが、「4週6休以上4週8休未満」は6・8%と17ポイント低下となった。前年度と比べ休暇の確保、取得が進んでいる傾向が表れた。
 漁港工事で4週8休の確保が難しい理由(複数回答)を質問したところ、「工事が気象・海象に左右される」(90・6%)が圧倒的に多く、荒天の影響を受けやすい漁港工事の課題が改めて示された。次に多かったのは「人手が足りない」(45・1%)だった。
 4週8休を実現するための発注者への要望内容(複数回答)では「ゆとりある工期設定」(70・6%)、「4週8休に向けた労務単価など経費率の補正・かさ上げ」(54・6%)、「提出資料や遠隔臨場など検査の簡素化」(43・6%)となった。「精度の高い設計書、発注図書」(35・3%)との要望もあり、全漁建は「根が深い問題。設計書の精度が低いと修正に時間がかかり、工事のスタートも遅れる。受注者側の打撃は大きい」と指摘する。
 4月に始まった時間外労働の上限規制を受けて対応した取り組み(複数回答)を聞くと、「現場支援体制の強化」(69・3%)、「DX・ICT化の推進」(54・4%)、「人員の増強」(27・9%)と続いた。