東京都/調節池整備で水害の被害回避、台風10号の大雨で11カ所・計35万立米貯留

2024年10月28日 行政・団体 [4面]

文字サイズ

 東京都内に整備された調節池が今夏の大雨で効果を発揮した。8月末から9月初めに上陸した台風10号による大雨では11カ所の調節池が稼働。洪水を取水したことで河川の水位上昇を抑え、深刻な水害の発生を回避した。都は今後も新たな調節池の整備事業を推進。2030年度までに総容量約200万立方メートルとなる新たな調節池の基本設計に着手する計画だ。
 都はこれまでに27カ所の調節池を整備。総貯留量は約264万立方メートルに上る。
 台風10号の通過に伴い町田市にある蓬莱橋雨量観測所では総雨量449ミリを観測。羽村市の羽村雨量観測所では最大1時間降水量72ミリを記録した。目黒川や野川・仙川などでは氾濫危険情報が発表されたほか、空堀川の新薬師橋(武蔵村山市)付近では氾濫発生情報も出された。
 大雨に伴い11カ所の調節池で計35万2700立方メートルの水を貯留した。東久留米市にある黒目橋調節池(貯留容量22万1000立方メートル)では8月29~31日に計3回、黒目川や落合川の洪水を取水。流入量は8万8900立方メートルと稼働した11カ所の中で最も多かった。青梅市にある霞川調節池(同8万8000立方メートル)では8月29、30日に7万8300立方メートルの水を取り込んだ。
 台風襲来時以外でも調節池は活躍した。7月31日に練馬区や板橋区などで発生した1時間当たり100ミリを超える豪雨では10カ所の調節池が稼働。合わせて26万8100立方メートルの水をためた。練馬区の白子川地下調節池(同21万2000立方メートル)では9万8800立方メートルの水を同日午後6時ごろから7時半ごろにかけて取り込んだ。このほか石神井川や野川などに設置した調節池でも洪水を貯留し、沿岸の水害を防いだ。
 都は現在、8カ所で計約130万立方メートルの調節池工事を進めている。このうち下高井戸調節池(杉並区)と下谷橋調節池(東久留米市)は24年度内に稼働を始める。今後も調節池を含めた河川施設の整備を加速し、気候変動に伴い多発する水害から都民の生命と財産を守る。