国土交通省は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に基づく発注関係事務の共通ルールとなる「運用指針」の改定骨子を固めた。地方自治体や建設業団体の骨子案への意見照会を踏まえ、一部の記載内容を具体化した。受発注者それぞれの立場からVFM(バリュー・フォー・マネー)に沿った「総合的に価値の最も高い資材など」の採用に関する評価基準やガイドラインを示すよう要望があった。国交省は現時点で明確化せず、まずは直轄工事で実績を重ねた上で事例集やガイドラインに落とし込む方向で検討する。
公共工事の品質確保の促進に関する関係省庁連絡会議が23日開いた会合で骨子を了承した。11月上旬には本文案をまとめ意見照会を再度行う予定。12月~2025年1月に開く次回会合で最終決定し、25年度の発注事務から運用する。公共発注者が講じるべき措置をまとめた改正公共工事品確法の「基本方針」も同時期の閣議決定を予定する。
記載内容を具体化したのは、技術力ある企業と地域企業が連携した技術移転の方策など。発注者が受注者に対し、中小企業への工程管理や品質管理の専門的な知識・技術の伝達を求めるなどの措置を例示した。
災害対応力の強化に関連し、発注関係団体からは災害協定に基づく工事の労災保険契約の積算への反映方法を具体的に示すよう要望があった。会社役員の労災保険の特別加入などを含めた保険料の反映方法は詳細な検討を要するため、運用指針とは別に示す方針だ。
VFMに沿った資機材や工法の採用を促す改正法の規定に対応し、国交省は直轄工事の総合評価方式で技術提案評価型の新タイプ「S-1型」を25年度に試行する方針を示している。仕様や工法の変更で品質向上が期待できる事項について「技術向上提案」を求める。試行を通じ効果や課題を検証していく考えだ。
骨子案への意見照会は発注関係団体1833者、有識者委員など19者、建設業団体839者が対象。意見は建設業団体から1000件を超えるなど計1381件が提出された。