福島県会津若松市は、公共下水道の中長期的な経営計画「下水道事業経営戦略」の見直し案(2025~34年度)を公表した。職員が担当している管路施設の維持管理などでウオーターPPPを含めた包括的民間委託の導入を検討。人口減少などで収入の低下が懸念される中、予防保全型維持管理体制の強化を図り将来にわたる安定的なサービスの提供を目指す。今後10年の建設改良費は1年当たり平均16億円と試算した。
11月30日まで市民や市内事業者から意見を募る。結果をまとめた上で年度内に策定する。
市の下水道は1973年度に整備を開始し、23年度末時点で公共、農業集落排水、個別生活排水を合わせた普及率は78・6%、水洗化率は87・8%となっている。整備開始から50年以上が経過した下水道施設の老朽化などで、点検、調査、改築、更新など維持管理や規模の最適化が必要となっている。
公共下水道は3処理区(3処理場)、農業集落排水は5地区(5処理場)、個別生活排水の浄化槽は1136基が設置されている。処理場の長寿命化に向け、公共下水道事業の「処理場ストックマネジメント計画」に基づき国からの補助金などを活用。優先順位の高い設備から更新する。農業集落排水事業では「農業集落排水処理施設最適整備構想」で26年度からの処理場統合に向けた管路の敷設、処理場設備の機能強化(更新など)に取り組む。
新規整備による未普及地区の解消と管渠の長寿命化の両立を目指し、建設改良事業の投資額平準化や調整などを検討。ウオーターPPPの導入が国土交通省の社会資本整備総合交付金の要件とされたことを踏まえ、官民連携での下水道管路施設の包括委託を目指す。