東京・中央区は本庁舎=写真=の建て替え時期を2040年ころと想定している。区はコロナ禍を受けて22年度に新庁舎の検討を休止。以降、晴海エリアで分譲マンションの開発が進んだり築地地区の開発構想が決まったりし、当面は小中学校など人口増に対応する施設の整備が喫緊の課題だ。区は整備に一定のめどが付くのは40年ころと想定。当面は現庁舎を継続利用し、投資的経費を学校などに優先的に割り当てる。
区の担当者が取材に対して明らかにした。既存庁舎は1969年の竣工で竣工後半世紀以上がたつ。ただ「耐震性に問題はなく、しっかり維持管理すれば、竣工後70年間は使用できる」(担当者)といい、現在エレベーターなど設備機器の更新に取り組んでいる。
区内ではHARUMI FLAG(晴海5)の建設が進み、25年までに共同住宅約5600戸などが竣工する。築地市場跡地(築地5、6)の再開発ではレジデンス500~700戸も整備される予定。担当者は「人口増が右肩上がりに進み、(現在18・6万人の人口が)20万に達する将来が見えてきている」と指摘。小中学校や図書館、区の出張所などの整備の重要性を強調する。
このほか首都高速道路日本橋区間の地下化や東京高速道路(KK線)の歩行者空間化、首都高速築地川区間のアメニティー空間整備など、大規模な都市基盤整備が同時に進展している。アメニティー空間整備など一部事業では区も多額の費用を負担する予定。担当者は「25年度予算では検討費用も含めて、庁舎建て替え関連に計上する予算はない」と明言する。
22年度までの検討では新庁舎の規模を延べ3万平方メートル程度と試算した。ただ同年度以降、DXはさらに発展。行政事務の効率化やペーパーレス化が進み、在宅勤務も可能になった。担当者は「適切な規模も当時の検討から変わってくる。縮小も可能だろう」と予想する。