愛知県は29日、矢作川・豊川CN推進協議会を開き=写真、全国から公募した「水インフラの空間をフィールドとした民間の技術開発支援」に応募があった12者・グループの提案19件すべてで実証実験を行うことを明らかにした。合わせて各提案名称も公表した。このうち11件は実証フィールドの調整を進め本年度から調査・研究に順次着手する。補助金確保や技術開発など時間が必要な8件は2025年度以降に着手する。
冒頭、大村秀章知事は「8月に新たな水循環基本計画が閣議決定され、われわれの取り組みが先進事例として紹介された」と述べ、3月に公募した水インフラ空間をフィールドとした民間技術開発支援について「提案があった19件すべてで実証実験を行う。成果を発信しカーボンニュートラル(CN)に貢献したい」とあいさつした。
19件の提案のうち、資金面で問題のない11件は上下水道施設や河川管理施設などの管理者と調整を進め実証フィールドを決め、本年度に実証実験をスタートする。実証期間などは特に定めていない。残り8件についても速やかに着手できるよう実証フィールドの調整を進める。企業が保有する技術を活用するため、企業名などは現時点で公表していない。
各提案の内容などは次の通り。▽提案名称=〈1〉実証フィールド〈2〉着手時期。
【再生可能エネルギー創出】
〈水力発電関連〉
▽浄水場・浄化センターでのマイクロ水力発電システムのポテンシャル調査および実証実験=〈1〉上下水道〈2〉24年度
▽環境学習の教材としてのマイクロ水力発電システムの活用提案=〈1〉河川管理施設〈2〉24年度
▽無動力除塵機能を備えた低コストな取水施設の開発=〈1〉砂防施設〈2〉24年度
▽CNとレジリエンスを実現するための小水力発電システムの調査・研究=〈1〉河川管理施設〈2〉24年度
▽低落差型マイクロ水力発電普及に向けたフィールド実証調査=〈1〉農業水利施設〈2〉25年度以降
▽農業用ため池等を活用した電力貯蔵システムの実証=〈1〉農業水利施設〈2〉25年度以降
▽AI流入予測を用いたダムにおける再エネ発電量の増大に向けた調査・研究=〈1〉農業水利施設〈2〉25年度以降
〈その他〉
▽堤防のり面へ設置する太陽光発電設備の開発=〈1〉河川管理施設〈2〉24年度
▽河川の刈草・伐採木や下水汚泥等を利用したエネルギー創出と堆肥化による地域会資源循環=〈1〉河川管理施設、下水道施設〈2〉24年度
▽消化ガス発電の余剰電力を利用した水素生成及び利活用に関する基礎研究=〈1〉下水道施設〈2〉25年度以降
【エネルギーの省力化】
▽CNに寄与する管路更新の最適化に関する実証研究=〈1〉水道施設〈2〉24年度
▽水道事業における有収率の維持・向上に寄与する配水管網の積極的な流量・圧力管技術の調査・研究=〈1〉水道施設〈2〉24年度
▽下水処理場におけるばっ気量適正化技術の開発=〈1〉下水道施設〈2〉24年度
▽モーター・ポンプ訪問診断サービスの開発=〈1〉河川管理施設、上下水道施設〈2〉24年度
▽下水処理場における処理プロセス制御最適化による動力消費量削減の実証研究=〈1〉下水道施設〈2〉25年度以降
【総合的な提案、その他】
▽「流域水循環プラットフォーム(仮称)」実現に向けた調査・研究=〈1〉流域全体〈2〉24年度
▽調整池を活用したモノづくりCNと大規模災害対応の実証調査=〈1〉その他〈2〉25年度以降
▽水インフラに眠る未利用エネルギーの地域一体での活用提案=〈1〉砂防施設、農業水利施設〈2〉25年度以降
▽低炭素型コンクリートの普及促進に向けた提案=〈1〉その他〈2〉25年度以降。