電気設備大手5社/24年4~9月期決算、全社が売上高過去最高

2024年11月1日 企業・経営 [3面]

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 電気設備工事大手5社(きんでん、関電工、九電工、トーエネック、ユアテック)の2024年4~9月期決算が10月31日に出そろった。連結ベースでは、全社が売上高で過去最高を更新した。このうち4社は営業増益。関電工と九電工は営業利益、経常利益、純利益でいずれも過去最高を記録した。各社とも大型工場や都市部の再開発など大型案件を順調に進めており、民間を中心とした旺盛な設備投資を受けた好業績となった。
 連結ベースの売上高を見ると、きんでんは関西電力グループの配電工事やオフィスビルなど一般電気工事の増加が寄与。関電工は首都圏再開発や半導体工場など屋内線・環境設備工事が業績をけん引し、「現場事務所の後方支援など全社的な生産性向上の取り組みの成果」が現れた。九電工やユアテックは、過去最大規模の手持ち工事量を反映した。
 本業のもうけを示す営業利益は4社が増加。九電工は設計から携わるフロントローディングの拡大、ユアテックは人件費など「コスト上昇分を価格に反映されるよう努めた」とし、両社とも増益を達成した。トーエネックは過去最高だった前年同期の反動減だが、高水準を維持している。
 業績の先行指標となる単体受注高は、2社が増加している。きんでんは関西電力送配電のほか、教育・文化施設や工場など幅広く受注を伸ばした。関電工は大型風力発電など再生可能エネルギー関連の受注などで3年連続で伸ばし、過去最高を更新した。
 各社とも堅調な受注環境が継続し、特に民間企業では好収益に伴ってDX推進やカーボンニュートラル(CN)対応などで設備投資を増やすとの見方が強い。時間外労働上限規制が適用され半年余り。確実に工事を消化するため、人材確保をはじめ経営基盤の強化に一層力を入れる方針を打ち出す。必要な販管費も増加する中で施工能力に見合った受注活動を展開しつつ、生産性を向上させ高収益につなげられるかが鍵になりそうだ。