竹中工務店は、CLT(直交集成板)と波形鋼板を組み合わせた耐震壁「KiPLUS WAVY」を開発した。波形鋼板をCLTとL字形の補剛材(山形鋼)で挟むように取り付けることで地震時の座屈や変形を抑え、従来と同等の耐震性能を実現。10月に日本建築総合試験所の技術性能証明を取得した。大規模・高層建物や壁の配置場所が限られる建物に適用しやすく、需要が高まる中高層建物の木造化の可能性を広げる。
RC造やS造の架構の一部に木をあらわしで使いながら、遮音・耐震性能などを補完する設計技術体系「KiPLUS」シリーズの第4弾。これまでの技術と同様に、建物の用途や構造にかかわらず導入できる。「WAVY」は波形鋼板と周辺の柱・梁フレームで構成する耐震壁で、2007年の開発以降に70件超の採用実績がある。
新技術では波形鋼板の片面にCLTをランスクリューボルトで固定し、CLTが傷んだ際には表面だけを交換可能。CLTを木のあらわしとして使うため、これまで見栄えに優れず目に触れない位置に設けていた波形鋼板の耐震壁を、居室空間や建物外観に配置し、豊かな木質空間を創出できる。現在、特許を出願中。
「KiPLUS WAVY」は、竹中工務店が設計・施工する「神戸学院大学有瀬キャンパス1号館計画」(神戸市西区)に適用予定。建物規模はS造3階建て、工期は10月15日~26年3月31日。今後、別物件にも採用を検討している。