大阪広域水道企業団と大阪府岸和田市、八尾市、富田林市、柏原市、高石市の5市が進めていた水道の広域化に伴う事業統合に向けた動きが最終段階に入った。6~7月に各市議会で規約変更議案が可決され、2025年4月の事業開始にめどが立った形だ。
10月31日に開催された「大阪広域水道企業団経営事業等評価委員会」の24年度第1回会合で報告があった。今後、24年内に各市と企業団で統合協定書を締結し、25年2月に給水条例改正案と予算案を企業団議会で審議する予定。
統合の背景には人口減少や水需要の減少に伴う経営基盤の弱体化、老朽化施設の更新費用の増大、ベテラン職員の退職による技術継承の難しさなどがある。統合によって各団体の水道施設を一元管理し、広域的な施設配置を最適化することで、設備投資や維持管理費の削減を目指す。企業団全体での一体的な運営体制により、災害時のバックアップ体制や水質管理の向上も期待される。
統合で必要となるハード整備としては、25~34年度に既存施設の統廃合や更新を計画する。例えば八尾市では神立加圧ポンプ場や神立配水池を廃止し、北部低区配水池を統合配水池として新設する。岸和田市では今木配水場を廃止し、赤山配水場に統合配水池を築造する=表参照。
建設関連事業費には統合後の約40年間で更新費を含め約2500億円(一部動力費含む)を概算する。
企業団では協議が整った市町村から順次統合を行っており、17年度に四條畷市、太子町、千早赤阪村、19年度に泉南市、阪南市、豊能町(24年4月に追加)、能勢町、忠岡町、田尻町、岬町、21年度に藤井寺市、大阪狭山市、熊取町、河南町が統合し事業を開始した。
委員会では一部の委員が「統合のメリットは施設の統廃合などの定量的な側面に限られるわけではない。地方では統廃合が困難な状況も多く、定性的なメリットを明確にすることが重要だ」と指摘。
対して事務局側が「定性的な効果も市町村に提示している。具体的には技術継承の確保、災害対応の強化、経営管理の効率化の三つだ。特に技術継承では広域化することで採用、配置、育成が円滑に進む利点がある」と説明した。