「担い手を確保したければコツコツやらないと駄目だ」。先日、取材先で専門工事会社の社長が口にした言葉である。人材確保は経営者にとって悩ましく、地道に取り組んでいくしかないと話す▼リクルート活動の一環で工業高校などに出向き、卓越した技術を教える出前授業が各所で開催されている。ベテランや若い職人が高校生らと触れ合う姿はほほ笑ましくもあり、1人でも多くが業界の仲間になってほしいと願う▼高額報酬を謳(うた)った闇バイトが社会問題になっている。若者が心理的に追い詰められ、凶悪犯罪に手を染めてしまう事件が後を絶たない。闇バイトに申し込んでしまった人に対して警察庁は専用ダイヤルを開設し、勇気を持って相談するよう呼び掛ける▼加害者の多くは金銭的な理由から凶行に及んだとされる。決して許されることではないが、無職や非正規雇用の増加などに伴う貧困化が背景にあると指摘する専門家もいる▼先の経営者の言葉はこう続く。「社会が若者をほったらかしてはいけない」。そうした社会であるにはどうすればいいのか、相次ぐ闇バイト事件の報道に触れて考えさせられる。