日特建設はのり面吹き付け作業を大容量化、省力化するロボット施工技術「スロープセイバー」の遠隔操作システムを構築し、5日に福島県南相馬市の福島ロボットテストフィールド(RTF)で初公開した。最新型式ではない建設機械にも遠隔操作機器が後付けできる汎用(はんよう)性の高いシステムを実現。家庭用ゲーム機「プレイステーション5」のコントローラーによる操作も可能にした。
スロープセイバーは、吹き付けアタッチメントとバックホウを用いたのり面吹き付け工のロボット施工技術として実際の現場で展開中。LiDARを用いたのり面施工システムも併用することでリアルタイムでの吹き付け厚計測ができる。人力施工に比べ最大70%の工期短縮、同80%の省人化を実現する。新たにインターネット経由の遠隔操作システムを構築することにより、のり面工の担い手不足・高齢化を補完し多様な働き方や安全リスクの高い災害現場などでの施工を後押しする。
スロープセイバーの遠隔操作システムは、建設現場のDX化を支援するARAV(東京都文京区、白久レイエス樹代表取締役)の遠隔操作・自動運転システム「ModelV」を取り入れた。Wi-Fiなどのネット環境を確保すればバックホウの運転席やコントローラーに遠隔操作機器を簡単に後付けでき、いつどこにいても吹き付け作業を行うことができる。
同日公開した遠隔操作システムの実証では、担当者がゲームコントローラーで操作しながら人力吹き付け作業の最大5倍程度となる植生基材の大容量吐出を行った。日特建設は21日に東京都中央区の本社でゼネコン関係者らを対象に行うシンポジウムで、同システムの特徴を説明する予定だ。福島RTFの現場公開に立ち会った菅浩一常務執行役員技術開発本部長は、若者が建設業に魅力を感じるようなツールとしての活用や役割にも期待を示した。