東京都が本格導入したドローンによる水管橋点検が効果を発揮している。これまで目視が難しかった橋の頂上部などを、ドローンに搭載したカメラで撮影。小さな傷なども確認できるようになり、見落としゼロにつなげた。点検時の高所作業がなくなり安全性も確保した。対象の水道橋は水面から非常に高さがあるなど目視検査の難しい9橋。5年に1回の定期点検でドローンを継続利用する。
水管橋の点検は人が歩廊を使って近くまで行き、目で見て確認している。足場がない上部のアーチ材などは見ることが難しい。水管橋の下部も船上から目視で確認するが、見えない箇所がある場合、長い棒の先にカメラを付けて撮影し、画像で状態をチェックしている。水面から高い位置にある水管橋は棒が届かないケースもあった。
対象の9橋は区部が5橋で多摩部が4橋。水面から相当な高さがあり、点検が困難な施設を選んだ。周囲に人がいないなどドローンを安全に飛ばせる環境が整っていることも考慮した。2022年度の試行を経て、23年度に本格導入した。
ドローンによる点検は現場で水管橋の状況を撮影した後、事務所などで録画した映像を確認する。画面には録画した映像のほか、撮影位置をピンで表した航空写真も表示。ドローンで撮影した映像と位置情報を結び付けることで画面上を自由に移動しながら、点検結果をチェックできる。
ドローン点検の導入に当たり苦労したのは規制や施設管理者との調整だ。航空法、電波法など法令順守はもちろん、例えば水管橋の近くに鉄道や高速道路が通っている場合、それぞれの管理者と協議し、許可を得る必要があった。
水管橋の損傷は断水につながる可能性があり、都民生活への影響が大きい。点検での見落としをなくすことで大きな事故の防止も期待できる。