国交省/施工管理や監督・検査のデジタル化、直轄土木で受注者提案手法を積極採用

2024年11月11日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 国土交通省は直轄土木工事の施工管理や監督・検査で、3DモデルやAR(拡張現実)などのデジタル技術を活用した新たな手法を受注者の提案に基づき積極的に取り入れる方針だ。現行の基準類で定める手法と異なっていても、監督・検査などに支障が生じないことを受発注者双方で確認できれば「試行」という形で採用を認める。民間主導で業務効率化が期待できる新技術を機動的に導入し、現場の省人化や生産性向上につなげる。試行結果を本省で収集し、優良事例の水平展開や基準化も検討する。
 各地方整備局などに試行の実施を10月末に通知した。現場の監督職員に周知し、現行基準に沿っていない手法が受注者から提案された場合も柔軟に対応できるようにする。試行が可能かどうか判断が付かない場合、本省に相談可能な体制も整える。全国建設業協会(全建)や日本建設業連合会(日建連)を通じ受注側にも試行の実施を周知し、積極的な提案を呼び掛ける。
 提案された手法を従来手法と比較した上で、問題なければ現行基準に代えて採用する。あくまで代替との位置付けのため従来手法とのダブルチェックは必要なく、契約変更の対象にもならない。
 民間からの提案があった事例として国交省は、のり面工ののり枠配置図の作成に3Dデータを活用する手法を挙げる。
 現状は現場に親綱を設置し、安全を確保しながら2人で計測を行い、その結果を基に手作業で2Dののり枠配置図を作成し施工面積を算出している。これを地上型レーザースキャナー(TLS)やドローンによる3D計測に置き換え、施工面積を自動算出する。危険を伴う作業が省略でき、省力化と安全性向上の両面でメリットがある。実際の検証で高精度な出来高算出を確認し、3月には直轄工事の出来形管理要領に反映させた。
 ICT施工の地盤改良工での取り組み事例もある。現状では建設機械の3D座標と取得時刻、その時の建機の状態などの施工履歴データを資料として提出し、出来形管理を行っている。こうしたデータをBIM/CIMモデルに属性情報として付与し、出来形管理図表の提出を省略する。既に採用している現場も複数あるが、監督職員によっては基準化などの採用可能な根拠を求める声もあったという。