国土交通、経済産業両省が11日に長野市内で開いた水分野の官民連携に関する初の合同会議で、ゼネコンなどが課題を解決する技術力や提案メニューを積極的にPRした。地方自治体約30者が参加したマッチングイベントが行われ、民間約70社がコンセッション(公共施設等運営権)方式などPFI事業の実績やDXの取り組みなどをアピール。あるゼネコンの担当者は「ウインウインの着地点を見いだせた」と成果を強調した。
国交省への水道行政移管を踏まえ、両省は「水道分野における官民連携推進協議会」と「下水道における新たなPFI/PPP事業の促進に向けた検討会」を開いた。初の合同開催で、上水・工業用水・下水道の「上工下水道分野の官民が一堂に会する場」(国交省水管理・国土保全局幹部)として、現地で自治体と企業のマッチングイベントも実施。講演などがウェブで配信された。
現地イベントにはゼネコン、建設コンサルタント、エンジニアリング会社などが参加した。上下水道施設などの維持管理や修繕、更新を一体的に民間に委ねるウオーターPPPに関する情報を共有。実施を検討している長野県と県内の複数自治体、導入可能性調査などで実施を検討中の仙台市、同調査を実施予定の鳥取県、広域連携を視野に入れる岐阜県瑞浪市などが関心事や連携手法などで情報を提供した。
ゼネコンは安藤ハザマ、大林組、奥村組、鹿島、前田建設が、設計・施工・運営の実績や予算の手当てと工事費確保、グループの技術・サービス力などに関する資料を用意。自治体の担当者と意見交換したり、課題を共有したりした。
水道、下水道とも人口減少から給水・処理量が低下し、料金収入の確保が難しくなっている中で、水道は管路の約22%が法定耐用年数を超えている。耐震化も大きな課題となった。工業用水は年間平均約500億円とされる更新に必要な投資が、50年度までに約1000億円になるとみられている。
あるゼネコンの担当者は「欠かせないインフラ」として水分野のPPPと向き合う意義を話した上で、「自治体の課題を解決するオプションを付けられる事業」と期待感を示した。「技術開発の方向性を決められる」とイベントへの謝意も示した。
別のゼネコンの担当者は「(PPPは)受注のターゲットになりにくい分野や事業もあるが、自治体へのソリューションの提供は使命。長い目で見て対応していく」と話した。