政府経済対策、公共事業「総額」確保の声/与党や全国知事会から要望

2024年11月13日 行政・団体 [1面]

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 政府が月内決定を目指す経済対策で、国土強靱化対策の推進や、それに必要な公共事業予算の確保を求める声が上がっている。経済対策に盛り込む国土交通省関係施策について意見聴取した12日の自民党国土交通部会では、公共事業予算の「総額」を十分に確保すべきとの意見が相次いだという。全国知事会からも、災害多発に伴う追加対応や物価高を踏まえ、国土強靱化に必要な予算を「例年以上の規模で確保すること」との要望があった。
 経済対策を巡っては、自民、公明両党が国民民主党との政策協議を開始。立憲民主党や日本維新の会とも意見交換する方針を示している。政策決定で幅広い合意形成を図る考えから、最終的な着地点が見通しにくい状況にある。
 政府は経済対策の柱の一つとして「国民の安心・安全の確保」を掲げ、自然災害からの復旧・復興や国土強靱化の推進に向けた施策を盛る方向。自民党国交部会では2023年度補正予算の公共事業関係費(約2・2兆円)を上回る額を積み上げるよう求める議員もいたという。
 全国知事会の花角英世国土交通・観光常任委員長(新潟県知事)は11日、国交省や内閣官房国土強靱化推進室の幹部に提言を手交。国土強靱化対策を継続的・安定的に切れ目なく進めるため、現行の5か年加速化対策の後継となる実施中期計画を24年内に策定するよう訴えた。その際に物価高などを踏まえ、5か年加速化対策を上回る予算規模を設定し、必要な予算・財源を通常予算とは別枠で確保することも要求した。
 政府は経済対策の柱に「物価高の克服」と「日本経済・地方経済の成長」も掲げている。石破茂首相は11日の第2次石破内閣発足後の会見で、目玉政策としてAI・半導体分野に30年度まで10兆円以上の公的支援を行い、今後10年で50兆円を超える官民投資を引き出す新たな支援フレームを策定すると表明。中堅・中小企業の賃上げ環境を整えるため、次期春闘での賃上げなどに向け月内に政労使で意見交換を開くとした。