大阪府/万博日本庭園保存活用計画案策定、文化的価値を次世代に

2024年11月14日 工事・計画 [8面]

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 大阪府は吹田市にある万博日本庭園の保存と活用を目的とする「日本万国博覧会記念公園日本庭園保存活用計画案」を策定し、13日に発表した。庭園の文化的・歴史的価値を次世代に確実に継承する。計画期間は2025年4月1日から35年3月31日までの10年間となっている。
 日本庭園は吹田市千里万博公園に位置し、総面積は25万1794平方メートル。1970年大阪万博で日本政府が当時の造園技術の粋を集めて設計した昭和の代表的な名園。ただ長年の風雨や利用により、園路や構造物の老朽化が進んでおり、保存活用計画に基づく整備を進めることで、未来へと続く文化の発信拠点として府民の誇りとなることを目指す。
 計画案では園路や構造物の老朽化対策として広幅員の園路にアスファルトや洗い出し舗装の劣化対策を講じる。石灯籠、橋、石段なども修復し、現状の意匠と調和を保ちつつ整備する。車いすでも通行可能な設計を維持し、誰もが安全に利用できる環境を整える。
 老朽化し夏季の水不足や漏水問題が課題となっている庭園の水景は水循環システムの再構築やポンプ設備の更新に取り組む。池や流れの水質維持に向けて定期的な清掃や堆積物の除去も行う。
 迎賓館や茶室といった建物群では建築当時の材料が入手困難な場合でも類似の材料を用いて修復し、庭園の景観を損なわないよう配慮する。既存施設の撤去や新たな構造物の追加の際には、事前に記録を保存し、歴史的価値を保持する。
 今後、12月12日まで府民意見を募集し、24年度中に最終的な計画内容を確定する。意見募集の受け付けは郵送またはファクス、メールで受け付ける。