東京都/伊豆諸島海域で浮体式洋上風力発電、ギガワット級の発電を想定

2024年11月15日 工事・計画 [4面]

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 東京都は伊豆諸島海域にギガワット級の浮体式洋上風力発電を導入する。同海域は風速や風向などが風力発電に適している。大規模な発電装置を整備し、温室効果ガス排出量の削減に弾みを付ける。2025年4月から新築住宅などに太陽光発電装置の設置の義務化や、薄くて柔軟性がある次世代ソーラーセルの普及も組み合わせ、あらゆるエリアで発電が可能となる「発電する未来都市」の実現を目指す。
 小池百合子知事は13日、アゼルバイジャンの首都バグーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の関連イベントで講演。浮体式洋上風力発電で仮に1ギガワット発電すると、90万世帯分の電力需要を賄えるという。
 小池知事は発電する未来都市の実現に向けたさまざまな取り組みを紹介。「大都市の責務として、国内外の自治体や民間セクターとも連携しながら、日本と世界のカーボンニュートラル(CN)の実現に向け、全力で取り組む」と呼び掛けた。
 都は30年カーボンハーフ(温室効果ガスを00年比で半減)、50年ゼロエミッション東京の実現に向け先進的な取り組みを進めている。脱炭素化を推進する上で重要な水素に関しては、都有地でグリーン水素の製造拠点を整備するほか、パイプラインを含む供給体制の構築を急ぐ。市場形式として世界初となるグリーン水素のトライアル取引も始める。
 都内の企業が持つ優れた脱炭素技術を、インドやブラジルなどグローバルサウス(新興・途上国)が活用できるよう支援も展開する。今後、都と民間で合わせて200億円規模の新たな取り組みを始める計画だ。
 都市を水害から守るため、大規模な調節池の整備を推進。複数の調節池を海までつなぎ、ためた水を放流する地下河川の事業化にも積極的に取り組む。高潮による被害の深刻化が懸念される中、防潮堤の段階的なかさ上げを実施。自然資源を防災に生かすグリーンインフラも導入する。
 持続可能な社会を実現するための金融「サステナブルファイナンス」も重視する。24年度には官民連携で組成した創エネルギー・蓄エネルギー推進ファンドから、再生可能エネルギーの導入拡大に欠かせない系統用蓄電池への投資を始めている。