NTTコミュニケーションズ(NTTコム)はドローンで配水ポンプ場を遠隔巡視する実証を、19日に横浜市保土ケ谷区の仏向ポンプ場で行った。屋内用ドローン「Skydio Dock」と衛星ブロードバンド「Starlink Business」を組み合わせることにより、自律飛行するドローンを活用した自動巡回点検の効果を確認した。今後は横浜市が保有する他の配水ポンプ場にも順次導入。蓄積された撮影データの画像解析にAIの活用を検討するとともに、配水ポンプ場点検のさらなる効率化や判断基準の統一化を目指す。
実証は配水ポンプ場の点検省力化に向けた全国初の取り組みとして、横浜市水道局が主催した。同市は起伏の多い丘陵地帯が広がっており、多くの地域でポンプによる配水が必要になる。現在は配水ポンプ場1カ所につき4人の職員が1カ月ごとに訪れ、1日がかりで点検している。浄水場と配水ポンプ場の行き来に最大2時間かかっており、多くのベテラン職員が退職を控えるなど課題が多い。自律飛行するドローンによる日常の遠隔点検が実現すれば、職員による訪問点検は異常があった時のみに抑えられ、効率的に維持管理できる。
ドローンは同社と資本提携する米Skydio社製で、ポンプ場内部のようなGPS(衛星利用測位システム)情報が取得しづらい環境でも容易に飛ばせるのが特徴だ。点検時は4分でポンプ周囲を自動巡回し、ポンプ軸受けのオイル漏れや流入弁の漏水の有無をチェックする。機体の上下に計6個ある魚眼レンズで撮影した映像をコンピューター画面に映し、遠隔地から確認できる。
NTTコムの担当者は「今回が取り組みを全国に広めるきっかけになれば」と展望。「(横浜市以外の)関東地方の水道事業体からも話をいただいている」という。横浜市水道局の担当者は、今後のドローン利用について「水道用地ののり面や樹木の管理などへの活用も考えられる」としている。