中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議/基本合意書を締結、供給網構築へ相互協力

2024年11月20日 行政・団体 [8面]

文字サイズ

 愛知県と民間企業、経済団体、行政機関で構成する中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議(会長・大村秀章知事)は18日、水素やアンモニウム等のサプライチェーン(供給網)構築に向け相互協力するとした基本合意書を締結した。名古屋市昭和区のスタートアップ拠点施設「STATION Ai」で開かれた締結式には大村知事のほか中島裕樹副会長(トヨタ自動車)ら民間企業20社が出席し、協定書に調印した。
 推進会議が7月に策定した中部圏水素・アンモニアサプライチェーン計画では、2030年までに水素20万トン、アンモニア100トンの年間需要があると試算。知多や四日市、三河港などに貯蔵・供給拠点を段階的に整備する計画を示した。国も水素社会推進法が10月に施行されたことを受け、30年度までに開始が見込まれる水素・アンモニアの供給利用を促進する計画の公募が今後始まる見込みだ。
 基本合意書では、2050年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、水素やアンモニアなどの需要や供給に関する調査協力、積極的な取り組みなど相互協力でサプライチェーン構築を実現するとした。
 今後は推進会議として各企業と連携、協力し国からの計画認定や支援制度獲得を目指す。国に対しては水素社会推進法に基づく燃料価格差支援や拠点整備等に対する支援、用地やインフラの整備等に対する支援を求めていく。
 大村知事は「50年のCN実現に向けサプライチェーンを中部で構築する大きな一歩。より一層企業と協力し具体的なプロジェクトを進めたい」と述べ、先頭に立ち国や関係方面に強く働き掛けていくとした。
 奥田久栄JERA社長は、碧南市の碧南火力発電所で燃料の石炭をアンモニアに転換する取り組みを進めており「今春、最後の大規模なアンモニア燃焼試験を行い成功した。20年代後半には石炭の20%をアンモニアに転換し燃焼する商用運転に入りたい」と話し、「非常に大量のアンモニアの製造、調達が必要になる。周辺の産業界と協力し中部圏の水素社会の実現を推進したい」と意気込みを語った。
 小林茂日本ガイシ社長も「窯業なので二酸化炭素(CO2)を排出する。水素やアンモニア等に燃料転換していかなければならない。サプライチェーン構築を県主導でやっていただくことは非常にありがたく、一刻も早く必要量をいただきたい」と期待を寄せた。
 基本合意書の締結企業は次の通り。
 ▽トヨタ自動車▽アイシン▽愛知製鋼▽出光興産▽AGC▽サントリーホールディングス▽JERA▽住友商事▽中部国際空港会社▽中部電力▽デンソー▽JR東海▽東邦ガス▽豊田自動織機▽豊田通商▽日本製鉄▽日本ガイシ▽ブラザー工業▽三井住友銀行▽LIXIL。