国土交通省は建設産業で働く女性の活躍・定着を促進する新たな実行計画の骨子案をまとめた。建設業の特色となる「現場」の環境整備に重点を置き、現場で働く女性の技術者・技能者を増やすための方策を打ち出す。新計画では建設業の女性就業者のうち技術者・技能者の割合を毎年度増加させることを目指す予定。ここ数年は女性の離職も目立ち定着促進がより求められることから、女性の入職者に対する離職者の割合をできるだけ低くし、建設業全体で離職が進まないようにする目標も設定する。
建設業団体が参加する新計画の検討会を20日に開き、骨子案を議論した。国交省と各団体が共同で策定する形で年度内に新計画をまとめる。2023年時点で建設業で働く女性のうち技術者の割合は3・4%、技能者の割合は13・6%と依然低い。直近では女性の入職者を離職者が上回る年があるなど、入職者だけでなく離職者も増える傾向がある。新たな目標設定で、この流れに歯止めを掛けるための環境整備が一層必要との認識を共有する。
新計画の骨子案では▽建設産業の魅力発信▽現場のハード・ソフトの環境整備▽取り組みの裾野拡大-の三つの視点で官民で取り組む内容を整理した。
魅力発信の一環で出産や育児への企業や職場の意識改革が必要と指摘。柔軟な働き方を許容する観点から、ICTを活用した現場の朝礼参加の柔軟化や作業分担の工夫などについて好事例の共有・働き掛けに取り組む。建設産業で活躍する女性のキャリアパス、ロールモデルの提示も重要とする。
現場のハード整備では直轄工事で「快適トイレ」を引き続き原則化し、地方自治体・民間工事の実態把握を踏まえトイレ環境の改善を官民で促していく。トイレに限らず快適な職場環境につながる工夫の発信、マニュアルやガイドラインの作成も視野に入れる。ソフト面の対応として現場のトイレや更衣室などの利用ルールを作成し、男性の就業者にも周知していく。
建設産業女性定着支援ネットワークの活動支援や新計画のフォローアップで取り組みの裾野を広げる。