安藤ハザマとニシオティーアンドエム(大阪府高槻市、北俊介社長)は山岳トンネル工事の生産性・安全性向上策として、吹き付けコンクリートの自動施工技術を共同開発した。▽切羽出来形取得▽位置情報演算処理▽油圧制御-の三つのプログラムを導入して実現。オペレーターは吹き付け機本体に付属するタブレットの簡単な操作だけで吹き付けコンクリの自動施工が可能になる。2024年度に安藤ハザマが施工している山岳トンネルの現場に適用する予定。
模擬トンネルを用いて実証。吹き付けコンクリの必要数量算出や自動施工、施工後の厚さ特定など、一連の機能が想定通りに動作することを確認した。
新技術を構成する三つのプログラムのうち、切羽出来形取得は吹き付け機前方に設置したLiDAR(ライダー)で取得した切羽の3Dデータを基に、吹き付けコンクリの必要数量を算出。施工前後の3Dデータ差分から吹き付けコンクリの厚さを特定し、出来形を確認する。
位置情報演算処理プログラムは、切羽出来形取得プログラムで取得した3Dデータから吹き付けコンクリの施工範囲を選択し、自動で施工するための吹き付けノズルのルートを算出する。さらに吹き付けノズル先端の位置目標を決定し、吹き付けノズルの角度と位置を制御する。
油圧制御プログラムは、位置情報演算処理プログラムで決定した吹き付けノズル先端の位置情報を踏まえ、吹き付け可能範囲を判定し、吹き付けロボットの油圧制御を行う。吹き付け機の油圧回路に比例電磁弁を追加し、コントローラーから出力電力を可変させることにより、エネルギーを機械的な往復運動や回転運動に変換するアクチュエーターの速度、ストロークをコントロールする。
安藤ハザマは、ICTで山岳トンネル工事の生産性や安全性を大幅に高める「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」の開発を推進中。将来的に山岳トンネル施工の完全無人化を目指している。