国交省/AR出来形管理の現場公開、タブレットで3Dデータと現場測量結果の差分把握

2024年11月22日 行政・団体 [2面]

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 国土交通省は20日、AR(拡張現実)を使った出来形確認の効率化に取り組んでいる建設現場を報道関係者らに公開した。現場は関東地方整備局北首都国道事務所発注の「R5圏央道高須賀地区改良その4工事」(茨城県つくば市)。3D設計データと現場測量の結果の差異をヒートマップ化し、タブレット上で表示する技術を実演。この技術を応用した遠隔臨場や狭い現場で役立つチルトローテーターのデモンストレーションなども披露した。
 ARを使うと完成図面と現況との誤差がタブレット上に表示され、修正が必要な箇所を重機オペレーターや施工管理者が一目で把握できる。公開した工事では完成した現場の上に厚さ25センチ程度の発泡スチロールを置き、その部分が完成図面との差異としてタブレット表示される。ヒートマップの作成は3D設計データがあれば多くの手間をかけずに可能なため、難易度は高くない。
 現場では当初から3Dモデルを作成し狭い現場での軽量盛り土の施工手順を立案。ARを使って足場計画の作成や転落墜落防止など現場作業員への安全教育、軽量盛り土の連結金具設置確認などにも活用した。
 施工を担当する金杉建設の小俣陽平工事管理本部部長・i-Constructions推進室長は「ヒートマップを出すためだけにARを使うのはあまり意味がないが、例えば連結金具の設置確認に使うとか受注者側で工夫していけばありだと思う」と評価した。北首都国道事務所の発注担当者は「遠隔臨場する際、面的に確認できることは画期的だと感じた」とメリットを語った。