日特建設の和田康夫社長は21日に東京都内で開いたシンポジウムで、開発に注力している自動・遠隔施工技術による働き方改革の将来像を示した。同社が得意とするダムの基礎岩盤を補強するグラウチング工事や、のり面を保護するモルタルなどの吹き付け工事に活用する。引き続き技術やシステムのさらなる開発、改良を推進。10年後には現場で社内の全業務が完結し現場と自宅を直行直帰できるような働き方改革の実現を目指す。
シンポジウムではゼネコン関係者らを招き、日特建設がダムのグラウチング工事やのり面の吹き付け工事に用いる自動・遠隔施工技術を紹介。冒頭あいさつした和田社長が「自動化・遠隔化が実現する未来の働き方~私の思い~」をテーマに、5~10年後の将来像を語った。
5年後に自動・遠隔施工技術による生産性向上効果を浸透させ、定時業務の定着を目指す。人がのり面でぶら下がらず高所に立ち入らずに済むよう、自動吹き付けシステムの実用化を目指す。10年後には現場状況を本支店や営業所と同一目線、即時に情報共有するシステムを定着。現場管理の一部をリモートで行えるシステムも活用する。担い手不足や高齢化が進む中、自動・遠隔施工技術の普及によって全社員に占める女性の割合を5年後に3分の1、10年後に半数と段階的に高めることも視野に入れる。
シンポジウムでは、ダムグラウチング工事でセメントミルク注入の予定や状況、施工状況マップ、グラウト管理日報が遠隔地からも即時確認できる「I・S・Dグラウチング」システムを説明した。のり面吹き付け工では作業を大容量化、省力化するロボット施工技術「スロープセイバー」の遠隔操作システムを解説した。担当者は「働き方をかなり変えていける可能性がある」と話した。
いずれも遠隔操作の実演も行った。