国土交通省は改正建設業法に基づき国が作成する「ICT指針」の案を公表した。改正業法・公共工事入札契約適正化法(入契法)で特定建設業者と公共工事受注者にICT活用の現場管理を努力義務化し、ICT指針を参考にしてもらう。施工管理の一部となるバックオフィス業務で取り組むべき事項を整理。現場施工でICTを導入する留意点や具体例も示す。12月中旬の努力義務規定の施行に合わせる形で正式決定し、実際の現場でICTを導入した事例集も同時公開する。
指針案への意見を29日まで受け付ける。正式名称は「情報通信技術を活用した建設工事の適正な施工を確保するための基本的な指針」。改正業法の12月施行分の一環で、ICT活用に関し元請には下請への指導、公共発注者には受注者への助言・指導を併せて努力義務化する。
施工管理関係では書類作成や財務・人事・労務管理などのICT化に焦点を当てる。民間の施工管理システムと、建設キャリアアップシステム(CCUS)の積極的な活用を促す。国交省らはCCUS登録データを民間システムと共同利用できるよう検討中。CCUSがデータ連携のハブとして機能すれば、元請ごとに異なるシステムへの対応が求められる下請の負担軽減にもつながる。こうした方向性も指針で示しCCUSの利用価値を訴える。
建設業退職金共済(建退共)の電子申請方式や「CI-NET」などを活用した電子商取引、公共工事での情報共有システム(ASP)の導入も働き掛ける。
現場施工では▽工種・工程・要求精度に見合った最適な機器の選定▽ICT活用を前提とする技術者兼任制度の活用▽下請との連携・協働▽技術者・技能者のICTスキル向上-などの留意点を列挙。ICT導入の具体例として▽ドローン▽トータルステーション▽3Dスキャナー▽BIM/CIM▽ウェブカメラ・ウエアラブルカメラ▽電子小黒板▽建設用ロボット-の7種を示す。別途作成する事例集には個々の機器の有効な使い方を例示する。当初は10ケース程度を掲載予定だが、短いスパンで順次拡充していく方向だ。