九州地方整備局と長崎県、長崎市など産学官でつくる「長崎駅前交通拠点整備事業計画検討会」(座長・中尾吉宏長崎県土木部長)は、長崎駅前のバスターミナル計画などに伴う整備方針案を取りまとめた。案には同駅と路面電車の停留所がある国道202号をつなぐ新たなデッキを整備し、交通結節機能を高める考えが盛り込んだ。整備方針の公表を経て、具体的な施設配置案を示す事業計画の策定に着手する。
検討会は九州整備局や県、市、学識者のほか、JR九州や県交通局、路面電車を運営する長崎電気軌道などの交通事業者で構成し、7月に初会合を開催。13日に非公開で開かれた第2回会合では事務局を務める九州整備局が示した整備方針案をおおむね了承した。
長崎駅前は西九州新幹線の開業に伴う新駅舎の整備で改札口が約150メートル西側に移転し、JR線からバスや路面電車との乗り継ぎ利便性が低下。路線バスの停留所が複数に分散することで利用者にとって分かりにくくなっており、バリアフリー対応が不十分であることも課題となっている。
整備方針案では交通結節機能の強化、バス停などの集約による交通円滑化を軸に対応策を整理した。老朽化に伴い再整備が計画されている県営バス長崎駅前ターミナル(大黒町)の再整備に併せ、駅側とバスターミナルを接続するデッキを新設。デッキには動く歩道を設け、バス停や路面電車の停留所を結ぶエスカレーターなどを整備し、歩行者の移動を支援することも盛り込んだ。
今後策定に取り組む事業計画では具体的な施設配置に加え、各施設の事業主体といった役割分担も明確にする。
県営バスターミナルを巡ってはターミナルが入居する長崎交通産業ビルと、これに隣接するビルとの共同建て替えが第1種市街地再開発事業により計画されている。大黒町地区市街地再開発準備組合が地権者との協議を進めており、2024年度中の都市計画の決定を目指している。