JR西/25年度に山科駅改良着工、関空特急はるか発着で周遊観光促進

2024年11月25日 工事・計画 [8面]

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 京都市の東の玄関口・山科地区(山科区)の観光活性化を目指し、JR西日本は2025年度、山科駅の利便性向上に向けた改良工事に着手する。22日に京都市役所で市と共同会見し明らかにした。29年度の供用開始をめどに新たにホームを1面増設。線路の配線変更を行い、関西国際空港と直結する特急「はるか」の終点を京都駅から山科駅に延伸する。同日、京都市が東部で進める街づくりプランを描いた「meetus(ミータス)山科-醍醐」の中間まとめ概要も発表した。
 山科駅改良は「ミータス」に掲げる山科駅周辺の拠点性強化と連携し実施する。「はるか」から同駅で市営地下鉄東西線に乗り換えることで山科や醍醐、東山、宇治方面の周遊観光を促進。インバウンドの一極集中で課題となっている京都駅の混雑を緩和する。
 改良工事では北側に12両編成の新快速が停車できるホーム(延長約250メートル)を新設。南側駅舎と既存ホームを結ぶ跨線橋とホーム下コンコースの2本の動線を延伸し新ホームと直結する。エスカレーター、エレベーターも設置する。
 「はるか」は折り返し用で東側に新設する引き上げ線を活用し、既存の3番線を上り列車、2番線を関空に向かう下り列車が停車する。現在は改良工事に向けて詳細設計を実施中。事業費は約100億円を見込む。
 市は「ミータス」の取りまとめに当たり、公民で横断的に意見を聴取。公共施設の再編やリノベーションによるにぎわい創出や、子育て世代の定住促進に向けたプラン作りを進めている。山科駅を起点に、地下鉄椥辻駅、石田駅、醍醐駅など南方向に拠点作りを波及させたい考え。25年3月に最終取りまとめを行う予定。
 会見で松井孝治市長は「一般的に京都はオーバーツーリズムのイメージが強いが、山科や醍醐のように観光や住環境でポテンシャルが高い地区が残っている。京都の幅広い可能性を多くの人に知ってもらいたい」と強調。JR西日本の財剛啓京滋支社長は「山科駅の改良で観光アクセスの選択肢が大きく広がる。京都全体の持続的な発展に貢献したい」と話した。