北海道/次期強靱化計画素案、20のリスクシナリオで162施策展開

2024年11月26日 行政・団体 [6面]

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 北海道は、次期北海道強靱化計画の素案を作成した。計画期間は2025年度からおおむね5年間。「強靱な地域と人をつくり、国土の強靱化を支える安全・安心な北海道」を目指す姿とし、その実現に向け20のリスクシナリオを設定。シナリオ回避に向けて取り組む施策として162項目を掲げた。12月にパブリックコメントや市町村への意見照会を行い、25年2月に北海道議会へ案を報告し、同3月の成案化を目指す。
 25日に開いた北海道議会総合政策委員会に報告した。素案では強靱化の目標を「大規模自然災害から道民の生命・財産と北海道の社会経済システムを守る」「北海道の強みを生かし、国全体の強靱化に貢献する」「北海道の持続的成長を促進する」の三つとし、目標の実現に向けたリスクシナリオを設定した。
 現行は7カテゴリーで20項目あるリスクシナリオは▽人命の保護▽救助・救急活動等の迅速な実施や避難生活環境の確保▽行政機能の確保▽経済活動の機能維持▽情報通信網や電力等ライフライン、交通ネットワークの確保▽迅速な復旧・復興等-の六つのカテゴリーで20項目に再編。リスク回避のための施策には現行より18項目増の162項目挙げ、リスクシナリオごとに29年度の数値目標を示した。
 主な施策を見ると、人命の保護では住宅・建築物の耐震化や老朽化対策、無電柱化を含めた緊急輸送道路の整備などを推進。数値目標では29年度までに住宅の耐震化率を24年度の90・6%から95・0%、公立社会体育施設の耐震化率を79・0%から85・0%とすることなどを挙げた。砂防施設の整備や森林の維持造成を進め、「山地災害危険地区のうち土石流等のリスクが高い箇所の治山対策実施率」を新たな指標に設定し、84・0%から87・0%とすることを掲げた。
 救助・救急活動等の迅速な実施では、あらな指標として災害拠点病院の浸水等対策率を73・0%から100%とすることを設定。行政機能の確保では73・2%だった市町村庁舎の耐震化率を全国平均値(24年度は90・6%)以上とすることを盛り込んだ。
 情報通信網やライフライン、交通ネットワークの確保では、発電分野の新エネルギー導入量を設備容量で417・1万キロワットから655・4万キロワット以上に、発電電力量111億2000万キロワット時から160億6000万キロワット時以上を目指す。
 道路防災総点検における道路斜面等の要対策箇所の対策率(道道)を28・4%から42・8%に、緊急輸送道路上等の橋梁の耐震化率(道道)を65・8%から68・0%に、橋梁の老朽化対策率(道道)を68・0%から94・3%に引き上げることなどを盛り込んだ。