国土交通省は直轄港湾事業で、省人化・生産性向上の取り組みを推進するi-Construction2・0を本格展開する。トップランナー施策を盛り込んだロードマップを策定。2030年を目標とする短期、35年目標の中期、40年目標の長期でそれぞれ「施工」「データ連携」「施工管理」の3分野で施策を盛り込む。陸上工事と同程度の40年までに1・5倍の生産性向上を目指す。
国交省は「港湾におけるi-Construction・インフラDX推進委員会」(委員長・岩波光保東京科学大学環境・社会理工学院土木・環境工学系教授)を立ち上げ、26日に初会合を開いた。短・中・長期で取り組むトップランナー施策を盛り込んだロードマップを策定する。
初会合では短期目標について議論した。デジタル化の推進や新技術導入による業務負担軽減、対応力強化を短期の全体目標に掲げ、ICT工事の適用拡大と改善、衛星測位を使った施工の実装、潜水作業の見える化などに取り組む。
ICT施工については25年度、擁壁工や舗装工、構造物工、土工、地盤改良工を工種に追加する。鋼杭工を25年度以降に追加するため、24年度に実地検証を行う。出来形管理基準の見直しやマルチビームソナーを使ったクラウドデータ処理システムの実装も目指していく。
データ連携では、施工管理ソフトを使った工事書類の省力化や3Dモデルの標準化などを掲げる。24年度に施工管理ソフトのモデル工事の試行を始めた。導入可能なICT機器選定や各種要領、事例集作成を25年度に着手する。23年度に原則適用したBIM/CIMについては事例集や各種要領を改定し、さらなる活用拡大を目指す。
25年2月に開く次回会合では中長期の目標について議論する。将来を見据えたICT施工やデータ連携のさらなる活用とともに、ICTを使った事業全体のマネジメントにより気象・海象、船舶の往来などを一元的に管理。工程全体を最適化して計画的な休暇取得が可能な建設現場の実現を目指すとしている。