回転窓/既存メディア対SNS

2024年11月27日 論説・コラム [1面]

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 選挙報道の在り方に関する議論が過熱している。きっかけは兵庫県知事選。再選した斎藤元彦氏は「SNSが非常に大きなポイントだった」と勝因を分析した▼街頭で連日演説する様子を投稿。他の立候補者が斎藤氏を応援する異例の動画が一気に拡散し、再選の大きな原動力になったとの見方が強い▼斎藤氏への批判的な意見が目立ち、民意とのずれを指摘されたのが既存メディア。テレビの開票速報番組では、予想していなかった結果に終始歯切れの悪いコメンテーターも見られた▼兵庫県知事選について、NHKの稲葉延雄会長や民放連の遠藤龍之介会長らはSNSの影響を認めた上で、有権者への適切な選挙報道の在り方を見直す必要性を説く。一方、多くの有識者からは誤情報も多いSNSの負の側面を問題視し、規制強化に踏み込むべきだとの意見も散見される▼情報伝達の手段は多様化しており「自分でいろんなものを調べて判断した選挙だった」と斎藤氏。ここに来て今回の選挙運動が公職選挙法違反に当たるのではないかとも指摘されているが、今後の選挙でSNS戦略がより注目されるのは間違いないだろう。