大林組は鉄スクラップを対象に「水平リサイクルフロー」の構築に着手した。建材商社や金属リサイクル事業者、電炉鉄鋼メーカーと連携して解体現場で発生する鋼材(鉄スクラップ)を電炉鋼材に再生し、再び建設現場で利用するための輸送ルートと事業者選定を最適化する。同社が請け負う解体工事で発生する鉄スクラップを、同社施工の新築工事で循環利用するという水平リサイクルを実現。初弾として東京都内の現場で鉄スクラップ約1000トンを循環利用する。
鉄スクラップのリサイクルフローは、解体現場で発生した鉄スクラップを金属リサイクル事業者が回収し輸送を経て、電炉鉄鋼メーカーで再び鋼材(電炉鋼材)にする。大林組は水平リサイクル実現に向け各社と協力。解体現場での発生から、電炉鋼材として新たな建設現場への供給まで輸送ルートと事業者選定を最適化するフローを確立し、輸送時の二酸化炭素(CO2)排出量の削減に貢献する。
輸送ルートと事業者選定の最適化により、従来把握できなかった鋼材のトレーサビリティー(追跡可能性)も確立する。
フロー確立に向けた第1弾は、東京都港区北青山三丁目の解体工事で発生する鉄スクラップ約1000トンを、大林組新築工事で循環利用する。既存建物の解体に伴い排出される鋼材約1000トンをリサイクル(電炉鋼材に再生)し、同社施工の新築工事で使用する。新材(高炉鋼材)を使った場合と比べ製造時のCO2排出量を約60%削減する見込み。
同社は今後、首都圏と関西の建設現場で鉄スクラップの水平リサイクルフローの適用を始める。地域性も考慮した輸送フロー選択のノウハウを蓄え、2025年には全国の各事業者と連携し、対象地域を拡大していく。