政府経済対策の住宅・建築関係施策/省エネ化へ新補助事業、BIM・LCAを一部先行

2024年11月28日 行政・団体 [1面]

文字サイズ

 政府は22日決定した総合経済対策で省エネルギー性能が高い住宅の新築・リフォームや、建築プロジェクトでのBIM活用を支援する施策を盛り込んだ。現行の「子育てエコホーム支援事業」とほぼ同様の取り組みを継続しつつ、ZEH水準を超える「GX志向型住宅」と呼称する住宅の供給を後押しする新たな枠組みとの2段構えで省エネ住宅への補助事業を展開。BIMモデルを活用したライフ・サイクル・アセスメント(LCA)算定に取り組む建築プロジェクトへの補助事業も、2025年度に予定する本格実施を前に一部を先行させる形で着手する。
 いずれも経済対策の裏付けとなる24年度補正予算案に関連経費を計上する方向で調整している。
 国土交通省はここ数年の補正予算で、省エネ住宅への補助事業に巨額の費用を充ててきた。子育てエコホーム支援事業には23年度補正予算で新築向けに公共事業関係費1700億円、リフォーム向けに非公共事業費400億円を充当。24年度当初予算でも公共事業関係費400億円を積み増し、長期優良住宅やZEH水準を満たす住宅を対象に新築費用などを補助している。
 GX志向型住宅への新たな補助事業の財源は「GX経済移行債」で賄う。より高性能な住宅供給を政策的に誘導していく観点で、公共事業関係費を充てているZEH水準の住宅への補助事業はやや縮小する方向だ。GX志向型住宅はZEH水準を上回る省エネ性能を持ち、太陽光パネルや蓄電池など再生可能エネルギーの自家消費設備を導入した住宅との定義付けを想定している。
 同じように過去2年の補正予算で措置された「建築BIM加速化事業」の後継と位置付ける「建築GX・DX推進事業」にも着手する。25年度予算の概算要求に盛り込んだ新規事業として関連経費125億円を求めており、その一部を先行的に24年度補正予算案で計上する予定。まずはモデル的なプロジェクトに取り掛かり、25年度予算でも関連経費を積み増しながら一体的に補助事業を展開する。
 加速化事業からの流れでBIMモデルの作成費用を引き続き補助対象としながら、建築物のLCA算定に取り組むプロジェクトも支援する。建築物の建設から使用、解体までの環境負荷を定量的に評価し、それを基に設計内容を見直すことで使用段階に限った従来の省エネ対策に加え、ライフサイクル全体での環境負荷低減に生かせる。