奈良県の山下真知事は27日、県立医科大学の新キャンパス整備(橿原市)に伴い設置される近鉄橿原線の新駅西側にアリーナを新設すると発表した。当初は県立橿原公苑(同)を候補地にしていたが、橿原市から提案を受け、2カ所を候補に敷地条件や整備効果などを比較検討した。学識者らの意見も聞き、整備予定地に決めた。山下知事は「利便性が高く、新駅周辺の活性化も期待される。橿原公苑にもゆとりが生まれる」と話している。
新アリーナは2031年に開催予定の国民スポーツ大会に向けて整備を進める。1月時点では橿原公苑の二つの体育館(第1・第2体育館)を統合し、第1体育館を解体した跡地に新たなアリーナを整備するとともに、武道場や弓道場を設けると発表していた。アリーナの面積は2500平方メートル、観客席は5000席を想定し、音楽イベントなどにも対応するとした。
その後、7月に開いた橿原市とのまちづくり協議会で、亀田忠彦市長から県立医科大学周辺ににぎわい施設が必要と提案があり、県内部で検討した結果、橿原公苑と新駅西側を候補に比較検討していた。
新駅西側は敷地の広さが約3ヘクタールで、橿原公苑に比べて1ヘクタール広く、アリーナに必要な高さも確保できる。駅にも近く、国道からのアクセス性も高い。特に整備効果の評価が高く、整備予定地にすることを決めた。学識者も「まちづくり・にぎわいづくりに大きく寄与すると期待できる」と評価している。評価点数では100点満点中、医大新駅西側が81点、橿原公苑が73点だった。
新駅西側には県立医科大学のグラウンドと市有地がある。建築工事費は約200億円と試算され、市有地(1・4ヘクタール)の用地取得が必要になる。アリーナの面積と観客席数は従来通りとし、武道場と弓道場は橿原公苑に整備する方向で検討する。新駅は30年度中の供用を目指す。
12月補正予算案には「スポーツ拠点施設整備基本計画策定事業」として1540万円(別途債務負担7700万円)を計上。必要な機能や設備のほか、事業スキームやスケジュールを検討する。