日本道路建設業協会(道建協、西田義則会長)は27日、舗装分野のカーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みを積極的に進め、アスファルト混合物の製造段階で排出する二酸化炭素(CO2)を最大77%削減する試算結果を公表した。製造温度を下げてアスファルト混合物を製造する中温化技術など、複数の取り組みを組み合わせることで可能とした。道建協は2030年度に温室効果ガスを13年度比で46%削減、50年にCN実現を目標としており、達成に向けた技術開発などを推進する。
道建協が21年に設置した「カーボンニュートラル検討会」の中間取りまとめに、今後の取り組み方針を提示。アスファルト舗装の素材調達、製造、運搬、施工、維持管理の各段階のうち、最もCO2排出量が多い製造段階で中温化技術などの適用を進めるとした。
道建協によると、通常のアスファルト混合物の製造段階では▽A重油▽その他▽電力▽軽油-の順でエネルギー使用量が多く、CO2排出量に影響している。これに▽中温化技術▽グリーン電力の導入▽加熱燃料のA重油から都市ガスへの変更▽加熱燃料の水素・アンモニアへの変更-の四つの対策を同時に行うことで、最も環境負荷が大きいA重油を中心に平常時と比較して最大77%のCO2削減が図れると試算した。
このほか、製造段階のCO2を削減する取り組みとしてCCU(CO2の回収・利用)といったカーボンネガティブ技術の開発・活用や、カーボンオフセット可能なバイオアスファルトや非アスファルト系素材など舗装用材料の開発・実装化にも取り組むとした。運搬段階では運搬車両の動力への電力、水素、バイオマス燃料などの活用を、施工段階は施工機械や舗装機械の動力に同様の燃料を活用したり、DX技術を導入したりする方針を示した。
CN達成への道筋としては、低炭素舗装や長寿命化舗装といった既存技術の普及促進に加えて、カーボンネガティブ技術の開発・活用、さらなる低炭素舗装技術の開発と実装の2本を主軸に展開する。