海外建設協会(海建協、佐々木正人会長)の会員企業の2024年度上半期(4~9月)海外建設受注実績(速報値)は、前年同期比13・6%減の9871億4400万円だった。前年同期に北米で1000億円台の大型案件を受注した反動減で前年同期の1兆円台には届かなかったものの、「堅調な受注が継続」(海建協)していると分析。通期の見通しについても「大幅に増加したり減少したりする要因はなく、堅調に推移する」(同)と見ている。
会員52社の上半期受注実績を集計した。内訳を法人別に見ると、日本の企業本体(本邦法人)が22・2%増の2140億0300万円、現地法人が20・0%減の7731億4100万円だった。
地域別では、最も大きなウエートを占めるアジアが6・7%増の5817億5400万円。国別で受注額が最も多いシンガポールで医療系施設と学術関係公益施設の大型案件などを受注し、押し上げ要因となった。アジアに次ぐ主力の北米は44・7%減の2561億0700万円。前年同期に港湾や病院で1000億円規模の大型案件を受注した反動で大きく減少した。
アジアと米国で受注額全体の9割弱を占める。海建協は「大型受注の有無で多少のばらつきはあるものの、アジア、北米を中心に活発な受注活動が展開されている」としている。
アジア、北米に次いで受注額が多かった東欧は14・3%減の673億7800万円。前年同期との比較では減少したものの、21、22年度の上期実績とは大きな差がなく「堅調に受注を確保」(海建協)している模様。上期の国別受注ランキングで8位(前年同期は10位以下)に入ったスロバキアでは100億円以上の工場を受注した。
会員各社の今後の海外戦略について、海建協は大きな変更はないと見る。日本国内では民間投資の活発化などに伴う旺盛な建設需要にゼネコン各社も対応する動きはあるが、「海外マーケットは一朝一夕に開拓できるものではなく、国内の受注が好調だから海外のリソースを控えるということにはならないだろう」(海建協)としている。