標高3000メートル級の北アルプスを貫く立山黒部アルペンルート。富山県側の立山駅(立山町)、長野県側の扇沢駅(大町市)間の総距離37・2キロメートルを、さまざまな交通手段で乗り継ぎながら景勝地を見て回ることができる▼戦後、富山県が産業・経済発展のため大規模な開発計画を策定したことを機に、世界有数の山岳観光ルートの整備事業が始動。1971年に全線開業し、立山黒部の秘境に広がる大自然や黒部ダムなどの観光資源へのアクセス手段が確立された▼一般車両が通行できず、移動にはバスやロープウエー、全線地下式のケーブルカーなどを利用。先月末まで国内唯一のトロリーバスが立山トンネルで運行されていたが、更新期を迎える車両の維持が難しく、来季から電気バスに切り替わる▼アルペンルートでは黒部ダムと扇沢駅間を結ぶ関電トンネルでも2018年までトロリーバスを運行。十数年前に乗車した際、難工事が強いられた破砕帯区間を青色のライトで照らしていたことが思い出される▼ルート沿いには土木史に残る構造物が数多い。建設産業の魅力発信の聖地として、これからも多くの人が訪れよう。