契約変更協議の促進措置施行へ/中建審総会で受発注者ら、信頼醸成へ前向きな姿勢

2024年12月3日 行政・団体 [1面]

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 国土交通省が2日に東京都内で開いた中央建設業審議会(中建審)総会=写真=で、改正建設業法・入札契約適正化法(入契法)で今月中旬に施行する「恐れ(リスク)情報」を起点とする契約変更協議の円滑化措置を巡って、契約当事者間の適切な価格転嫁への期待や、実効性の高い運用を求める声が挙がった。建設業団体は民間を含む発注者への周知と建設Gメンによる指導などを国に要請。発注者の立場からも、改正法に適切に対応するため受発注者間の信頼関係をさらに醸成していくべきだとの前向きな意見表明もあった。=2面に関連記事
 改正業法の施行は国の調査などを規定した9月に続く2回目だが、実質的な規制措置の施行は初めて。受注者に契約前のリスク情報の通知を義務化し、注文者にリスク発現時の誠実な協議対応を努力義務化する。
 日本建設業連合会(日建連)の宮本洋一会長は、改正法に基づき業界として価格変動リスクの適切な分担に努めるとし「発注者にも同じ認識の下、受発注者間でコミュニケーションを促進し、ウィンウィンの関係を構築するようお願いする」と強調。「建設業法令順守ガイドライン」などによる運用ルールの明示が施行直前となり、準備不足に「不安を感じている」としつつ、特に民間発注者などが適切に対応できるよう周知や支援、配慮を国に求めた。
 宮本氏は、改正法で請負代金などの「変更方法」を契約書の法定記載事項と明確化したことから「建設工事標準請負契約約款(標準約款)改定で算定方法の具体化などが必要」とも主張。国交省は法施行後に標準約款の改定への検討を本格化する意向を示した。
 誠実協議を発注者に義務化する公共工事を巡っては、スライド条項の適切な運用で注文があった。日本電設工業協会(電設協)の文挾誠一会長は、同条項の適用根拠に客観性の高い統計データしか認めないケースがあると指摘。電力制御盤のような特注品では対応が難しく、メーカー価格の改定データなどの活用にも配慮を求めた。国交省は同条項の運用基準が限定的とならないよう働き掛けるとした。
 発注者の立場となるJR東日本の小山宏常務執行役員は、資材価格や労務費の高騰対応で「協議を円滑に進めるには受発注者間で契約の透明性を高め、信頼関係を今以上に高めなければいけない」と話し、改正法を踏まえ積極的に情報交換やコミュニケーションを取っていく姿勢を示した。