鹿島は製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を削減できる低炭素型コンクリート「ECMコンクリート」を、秋田県東成瀬村の成瀬ダム堤体打設工事現場(発注・国土交通省東北地方整備局)に本格導入した。計1526立方メートルをダム堤体と基礎岩盤補強の一部に使用。同工事に伴い発生するCO2排出量を73トン削減した。ECMコンクリートの大規模なダム堤体への導入は国内で初めてという。
ECMコンクリートは、普通セメントの代わりに、高炉スラグ微粉末を60~70%混合した「ECMセメント」を材料に使う。ECMセメントは、一般的なコンクリートに用いられるセメントと比べ、製造時に排出されるCO2を52%削減できる。
今回、ECMコンクリート計1526立方メートルを、ダムコンクリートと基礎岩盤を補強する「造成岩盤コンクリート」の一部に導入し、CO2排出量を73トン削減した。ECMコンクリートと一般的なコンクリートを比較した結果、堤体内のコンクリートのピーク温度が同程度で高い品質を確保することを確認した。
成瀬ダムは、現地発生土材(石や砂れき)やセメント、水などを混合した材料「CSG」で治水や利水などを狙いとする。堤高114・5メートル、堤体積485万立方メートル、貯水量7850万立方メートル、コンクリート数量40万立方メートルの規模。台形CSGダムとして国内最大規模となる。工期は2026年12月までを予定する。
鹿島は今後、ECMコンクリートをはじめ環境配慮型コンクリートを、コンクリートダムなどさまざまな構造物へ積極的に展開する。