年末年始は仕事の付き合いやプライベートで何かと酒宴の席が増える方は多かろう。酒の種類も飲み方も多様化が進み、最近はアルコールが苦手な人向けの低アルコール飲料の商品も豊富だ▼昔から国内で生産されてきた清酒(日本酒)や焼酎などの「和酒」のほか、明治以後に実用的な生産が開始されたビール、ワイン、ウイスキーなどの「洋酒」を含め、国内の酒造業は多角化を進めてきた。その一方、成人の飲酒人口は減り続けている▼酒類業の所管官庁である国税庁がまとめた「酒レポート」によると、少子高齢化や人口減少、消費者の低価格志向、ライフスタイルの変化などから、国内市場は全体として縮小傾向にある。社会構造的な要因が大きいため、今後も酒類の国内消費量が大きく増えることは見込みにくい▼先週、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に日本の「伝統的酒造り」の登録が決まった。製造・販売関係者にとっては吉報だろう▼勝利の美酒に酔いたいところだが、酒造りも担い手不足が深刻なよう。技術継承などの問題・課題を乗り越え、これからもおいしいお酒を造り続けてほしい。