竹中工務店は鉛を用いない放射線遮へいボードを対象に、耐火間仕切り壁としての1時間の国土交通大臣認定を取得した。病院の検査室や原子力分野、研究施設などへの適用を想定。リサイクル性に優れるとともに、従来仕様と比べて1割以上の施工コスト削減が期待できる。壁の厚さを薄くすることも可能で、設計の自由度も高まる。同社が手掛ける案件で積極的に提案していく。
鉛フリー放射線遮へいボード「RadBoard-X」は、2018年に吉野石膏と共同開発した。放射線室など医療・研究施設などで放射線を使用する部屋を想定した壁用内装材で、主にガンマ線とエックス線に優れた遮へい性能を持つ。鉛を使用していないため、製造時の二酸化炭素排出量を従来品の60分の1以下にできる。従来の石こうボードと同様にリサイクルでき、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する。
より幅広く活用してもらうため従来の厚さ15ミリに加えて、厚さ12・5ミリを用意した。必要な性能に応じたバリエーションに対応する。
耐火1時間の大臣認定の仕様では、壁厚を115ミリにできる。鉛ボードと石こうボードを組み合わせていた従来仕様(131ミリ)より薄くすることができる。放射線室などの有効面積を広げて、検査機器の設置自由度が向上する。
耐火認定後の初弾として、鹿児島大学病院新外来診療棟(A棟)の透視検査室に適用された。これを含めて既に計12件で導入されている。