国土交通省は直轄工事で等級区分がある6工種に設定している発注標準の工事金額を引き上げる。ここ数年の建設工事費デフレーター(建設工事にかかる費用の相場を示す指標)の急上昇を踏まえ、2020~23年度の伸び率である1・14倍を一律で反映する。「一般土木」と「建築」の2工種ではA等級を予定価格8・2億円(現行7・2億円)以上、B等級を3・4億円(3・0億円)以上、C等級を0・7億円(0・6億円)以上とする案を示す。早ければ25年度の工事発注から適用する。
デフレーターは15年度を「100」とした場合、20年度が「107・9」、23年度が「123・3」(暫定値)。発注標準を前回改定した1999年度以降、2015年度まで伸び率は年度平均0・7%で推移していたが、15~20年度は約2%、20~23年度は約5%と直近の変動は大きい。発注標準の見直しとなれば四半世紀ぶりだが、急激な工事費変動に対応する観点で20年度の状況をベースに改定値を算定する考えだ。
一般土木と建築では直近の上位・下位等級の企業を入札参加対象にできる工事金額も引き上げる。適用可能とする金額の幅は現行から見直さず、「B+C」はB等級工事のうち4・9億円以下、「C+B」はC等級工事のうち2・4億円以上とする。
等級区分が三つに分かれる「アスファルト舗装」はA等級を1・4億円(1・2億円)以上、B等級を0・6億円(0・5億円)以上に見直す予定。2区分の「造園」はA等級を0・30億円(0・25億円)以上とし、3区分の「電気設備」と「暖冷房衛生設備」はA等級を2・3億円(2・0億円)以上、B等級を0・6億円(0・5億円)以上とする案を示す。
国交省は6日の有識者会議「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」で見直し案を報告。有識者からは、上位等級に昇級する場合も元の等級にとどまれる在留措置を希望する企業が多い現状を踏まえ、等級ごとの工事件数のバランスも含めた見直しが必要との意見があった。