五洋建設は総額約790億円を投じて、洋上風力建設に使用する自航式大型起重機船(HLV)と自航式ケーブル敷設船(CLV)を建造する。10日に開いた取締役会で決めた。今後見込まれる15メガ~20メガワットクラス風車の基礎(モノパイル)を安全かつ効率的に施工するため、HLVに世界最大級の5000トンつり全旋回式クレーンを搭載。世界最大級となるCLVで風車建設工事から電力ケーブル敷設工事へと事業を拡大する。一般海域や排他的経済水域(EEZ)の洋上風力建設を見据える。
HLVは一般海域のプロジェクトで風車の大型化に伴うモノパイル重量の増加や、SEP(自己昇降式作業台)船での基礎施工が困難になることを見込んで建造する。2028年3月の完成を目指す。
CLVは着床式・浮体式洋上風力、海底直流送電の電力ケーブルの敷設工事での稼働を予定する。5000トン×2基(合計1万トン)の電力ケーブルタンクを搭載し、大型ウインドファームに対応する。気象・海象条件の厳しい外洋でも効率よく安全にケーブルを敷設できる。最新型のトレンチャー(埋設機)とワークROV(遠隔操作無人探査機)も搭載し、ケーブル埋設作業を効率よく行う。28年2月の完成を予定し、同年度上期に稼働させたい考え。
五洋建設は両船の保有に当たり子会社も設立する。HLVとCLVは子会社と芙蓉総合リースの共同保有で、CLV搭載のトレンチャーとROVは子会社と小島組の共同保有となる。CLVの運航は小島組に運航管理を委託する予定だ。
HLVの建造費約1200億円のうち五洋建設は約600億円を投資。CLVは本体約310億円に、トレンチャーとワークROV約55億円を加えて約365億円となり、五洋建設は約190億円を投資する。