清水建設/熊本県人吉市で国内初の地域医療連携組織実現へ、コンサル業務も展開

2024年12月12日 企業・経営 [3面]

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 清水建設は11日、熊本県の人吉球磨地域で地域医療連携組織の組成を目指すと発表した。産官学29機関の協力を得て、地震と台風の複合災害を想定した地域災害医療連携訓練を実施しており、訓練で得られた知見を生かしていく。地域医療連携組織の組成が実現すれば国内初となる。洪水浸水想定区域の災害拠点病院を足掛かりに、地域レベルの医療連携の実現に向けたコンサルティングも展開していく。
 同社は人吉医療センターと共同で、医療や建築、土木の知見を融合した球磨川の氾濫に備えるためのタイムライン防災計画の検討を進めていた。2023年10月からは、熊本県人吉保健所と医療連携の在り方などを協議。同保健所が呼びかけ、今年3月に産官学の検討会を立ち上げていた。
 16の医療関連機関が参加した訓練を10月20日に人吉市で実施しており、今月11日には振り返り会合を行った。保健所や複数の病院間で情報共有するグループトークシステムや、広域災害救急医療情報システム「EMIS」の有効性などを再認識した。
 同センターは地域の拠点病院だが、2020年7月豪雨で浸水被害を受けた。そうした状況下で、水害発生後2日間に平時の10倍となる62人の救急搬送を受け入れ、院内リソースが著しく逼迫(ひっぱく)した。地域レベルで組織的な医療連携を実践するための仕組みづくりが課題となっている。
 同社は、水害に強い病院建築の提案や、自社開発の災害時医療事業継続支援システム「MCP」の提供などにも取り組み、地域医療の高度化を後押しする。