国土交通省は直轄工事で運用する総合評価方式の新タイプとして導入を検討している「技術提案評価SI型(仮称)」について、2025年度に開始予定の試行の進め方をまとめた。SI型ではVFM(バリュー・フォー・マネー)の考え方に基づき、仕様や工法の変更で品質向上が期待できる事項について「技術向上提案」を求める。現時点で想定する提案テーマとして工期延期のリスク回避につながる施工性の高い工法への変更、交通渋滞・事故防止や作業員の危険防止につながる安全性向上策などを挙げている。
SI型は現行の技術提案評価S型で発注している工事のうち、難易度や不確実性が高い工事への適用を想定。S型で認められていない仕様変更などの提案を求め、コスト面で分が悪い省人化や脱炭素化に寄与する工法や資材の採用を促進する。各地方整備局での試行に当たって、適用工事で提案テーマを設定する際の参考になる例をいくつか提示した。
工期延期のリスク回避と安全性向上のほかには、構造物を新設した際に点検が困難になる箇所への維持管理性の高い工法などの採用を挙げる。将来的にはカーボンニュートラル(CN)に貢献する工法などの採用に関してもテーマ設定を促していく考え。現状では各工法などのCNへの寄与度を適切に評価できる方法を定める必要があることが課題で、入札時の提案への評価に先立ち、まずは工事成績での加点など実績への評価を行う方向で検討していく。
発注方法の具体的なイメージも示している。適用工事では提案に際し、その実施にかかる概算費用の明示を求める一方、入札は提案に要する費用を含めず当初仕様で行ってもらう。発注者は提案の「適格性」や「実現性」を評価し、技術点の一部として加点する。
実際に提案を採用するかどうかは第三者委員会に諮り発注者が決定。当初契約後に発注者の指示による契約変更を行い、これで受注者には提案内容の履行義務が生じる。契約変更時の増額は当面、予定価格の5%を上限とする予定だ。