経済産業省は17日、2040年度を見据えた次期(第7次)エネルギー基本計画の原案を明らかにした。エネルギーの安定供給と脱炭素の両立のため「再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入」と明記。40年度の電源構成(暫定値)を再エネ4~5割(23年度速報値約2割)、原子力約2割(1割弱)、火力3~4割(約7割)と想定。建築物の省エネ対策強化、原子力発電所のサイト内建て替えの方針も盛り込んだ。
同計画は電力、資源を巡る国の中長期方針を定める。同日の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)基本政策分科会に提示。政府が早期に決定する。
40年度の発電電力量は1・1兆~1・2兆キロワット時(23年度速報値9854億キロワット時)へ増加を見込む。脱炭素電源の拡大、省エネ対策、燃料転換などで最終エネルギー消費量は2・6億~2・8億キロリットル(3・0億キロリットル)に低減する。エネルギー自給率は3~4割(15・2%)に高め、ガス排出の削減割合は73%(22年度実績22・9%)を目指す。
電源別では再エネ、原子力の活用と、火力の低炭素化を促す。再エネの太陽光は公共部門の場合、40年には設置可能なすべての建築物の屋根に付ける。地上設置はインフラ空間への導入を拡大する。ペロブスカイト太陽電池は40年の導入目標を20ギガワットに設定した。
洋上風力は再エネを主力電源化の「切り札」とし、浮体式を含め40年までに30~45ギガワットの案件形成を目指す。地域間連系線、港湾インフラの整備などを戦略的に推進。地熱は導入計画・目標を定める。水力はハイブリッドダムを推進する。
原子力は廃炉を決めた事業者による「サイト内での次世代革新炉への建て替え」を対象に、地域の理解を得たものに限り具体化する。火力は石炭を中心に発電量を減らし、水素・アンモニアなどで脱炭素化する。
業務・家庭部門はZEB・ZEHの省エネ性能をさらに高め、ZEHは供給の新しい枠組みを創設する。ガス排出の多いセメントは、燃料転換、二酸化炭素回収などを進める。