中部地方整備局は18日、第3回中部圏大規模断水対策協議会を同局内で開き=写真、最終取りまとめ案(事前対策編)を策定した。給水車だけに依存しない現実的な対策として、応急給水対策の強化と抜本的な断水対策の両輪で備えを進める。各水道事業者が情報交換できる場として、来年度以降も会議を開く予定。
冒頭、佐藤寿延局長は「大規模災害が発生すれば、給水車のようなリソースは不足する。リソースを補うために今回まとめた対策を、各市町村で共有してほしい。引き続き皆さんと、実際に災害が起こったことをイメージして地域を守るための対策を進めたい」とあいさつした。
6月の中間案では水の確保(耐震性貯水槽の整備など)、給水車の代替確保(民間タンクローリーの活用など)、応急給水の効率化(仮設水槽の整備など)、中長期的な対策(取水口から配水池までの耐震化など)の四つのメニューを応急給水施策の強化として一つの項目にまとめていたが、最終案では中長期的な対策を「抜本的な断水対策」として独立させた。
抜本的な断水対策では▽取水口から配水池までの耐震化▽重要給水施設配水管の耐震化▽基幹管路の複線化▽配水ブロック化、配水ブロックの再編成-を取り組み内容として示した。いずれも断水リスクの低減に大きな効果があるが、費用や時間がかかる。会議では、11月に公表された上下水道施設の耐震化状況の緊急点検結果も踏まえ、優先順位を決めて整備を検討・実行する重要性を確認した。
応急給水対策では、さいたま市の民間タンクローリーの活用事例などが紹介された。さいたま市はミナト流通サービス(静岡県富士市)と協定を結んでいる。さいたま市以外でも、被災自治体がさいたま市を通じて応援要請することでタンクローリーの派遣を受けることができることが特徴。こういった全国の事例も周知する。
2025年度以降も、施設整備推進のための補助制度の活用や国への要望など、各自治体の悩みやニーズに応えて議題を設定。幹事会や協議会を開き、大規模断水に備えるための検討を進める。