東京・千代田区は19日、ペロブスカイト太陽電池の実用化を目指して7~10月に実施した実証実験の結果を公表した。発電量は全期間平均で1日当たり5・5キロワット時。出力は目標値の1・2キロワットを達成し、最高値で1・6キロワットに達した。区は発電や施工性、メンテナンス、景観配慮といった面で優位性があると総括。「実用化の見通しが立てば、区有施設への活用を検討する」としている。
実証実験はYKKAPの協力の下、トレーラーハウスの窓に同電池を組み込んだ「発電ガラス」を取り付け、JR秋葉原駅前に設置した。屋上にも太陽光パネルを置いた。外部から給電を受けないオフグリッド環境にした上で、インフォメーションセンターとして運営した。
期間中の平均電力自給率は88%だった。室内では液晶モニター2台のほか、エアコンとパソコン、扇風機が1台ずつ稼働。LED照明も利用していた。
同電池には発電の面でも優位性があった。空が曇ったり雨が降ったりした際の、発電量の減少幅は、従来の太陽光パネルよりも小さく済んだ。YKKAPは今後、さまざまな気候条件での実証実験を続け、2026年度の実用化を目指す。
同電池は薄くて軽く、折り曲げも可能。ガラスと複合化すれば、ビルのカーテンウオールを使った大規模発電などが可能になる見込みで、期待が高まる。
経済産業省は40年ころ、同電池を原子力発電所20基分相当の規模に普及させたい考え。11月26日に開いた「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた官民協議会」の第8回会合に示した。24年度内に策定する次期エネルギー基本計画に方針を盛り込む見通しだ。