内閣官房は19日、GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」(2023年策定)の改定案をまとめた。家庭から排出される二酸化炭素(CO2)の削減に向けた「くらし関連部門」では、方策としてZEH水準を大きく上回る省エネ性能を持つ住宅の導入支援や、住宅性能表示制度の基準充実などを新たに追加。30年までに省エネ水準の高い住宅供給に向けた枠組みを構築する。
同日開いた「GX実現に向けた専門家ワーキンググループ」で改定案を示した。
現行戦略はくらし関連部門について、今後10年程度で約2億トンのCO2削減に向け官民投資額約14兆円を引き出すことを目標としている。改定案では、投資促進策としてZEH水準を大きく上回る省エネ性能を持つ住宅の導入支援を追加。実現に向けた制度づくりでは、25~30年度に省エネ基準をZEH・ZEB水準に引き上げるため、より高い省エネ水準の住宅供給を促進する枠組みを構築するとした。
次世代型地熱の分野別投資戦略も今回新たに示した。現状よりもさらに深い場所での地熱資源や、地下に水や割れ目のない地点での開発といった開発領域の拡大に取り組む。今後10年間で官民投資31兆円以上を目指すとした。
製造業、運輸、くらし、エネルギーといった分野別の投資促進施策では、25年度予算案に計上される支援見込み額を年内にも盛り込む予定。
政府は23年にGX投資の拡大に向けた重点分野の10年間の道筋を示す分野別投資戦略を策定。国民の「暮らし」や浮体式洋上風力発電など「次世代再生可能エネルギー」といった16の重点分野を設定し、GXの方向性などをまとめた。20兆円規模のGX経済移行債を活用した投資促進策により、150兆円以上の官民GX投資を実現するとしている。